
こんにちは。読書がすきなひりまるです。
小さい子どもにもわかりやすい内容の絵本が多いですよね。でも、大人になって読んでも、心に響くものがたくさんあります。「ごんぎつね」もその一つだと思います。
「ごんぎつね」は小学校の教科書に載っている
童話「ごんぎつね」が初めて教科書に登場したのは1956年。それから次第に掲載する教科書会社も増えていきました。私が小学校4年生だったときにも教科書に掲載されていた可能性があります。(はっきり覚えていませんが・・・)
「ごんぎつね」の作者は新美南吉です。新美南吉という作者を意識したのは、上皇后陛下美智子様がまだ皇后陛下でいらしたときに、新見南吉の「でんでんむしのかなしみ」が心に残っているというお話をされたというのを聞いてからです。それから新美南吉の作品を探しているうちに「ごんぎつね」が新美南吉の作品だと知りました。もちろん題名は知っていました。でもお話の内容はよく覚えていません。

そこでもう一度読んでみることにしました。このときが「ごんぎつね」との再会だと思います。
「ごんぎつね」のあらすじ
「ごんぎつね」は、こぎつねの「ごん」と村人の「兵十(ひょうじゅう)」とのお話です。
ある日、兵十は川でうなぎを捕っていました。それを見ていたごんが、いずらをしてうなぎを逃がしてしまいます。
それから、しばらくして兵十の母親が亡くなります。それを知ったごんは、うなぎは兵十が病気の母親に食べさせようとしていたのでは?と気づきます。
それから、ごんはつぐないのつもりで、食材をこっそり兵十の家に届けることを繰り返しました。
兵十は、食材が届けられているのを不思議がりながらも、どうしてなのかよくわかりません。
そんなある日、ごんは兵十に見つかってしまいます。川でいたずらをしたごんを見つけた兵十は、火縄銃でごんを撃ちました。
ごんが息絶えるそのときに、兵十は家に置かれた栗を見つけ、これまで食材を届けてくれたのがごんだったことを知ります。
「ごん、おまえだったのか。いつも、栗をくれたのは。」と問いかける兵十に、ごんは目を閉じたままうなづきます。
兵十の手から火縄銃が落ち、筒口から青い煙が出ているところで物語は終わります。

作者の伝えたかったことは?
なんともいえない悲しい結末です。お互いに気持ちの行き違いがあって、すれ違いが生じています。作者はどうしてこんな悲しい、誰も救われない結末にしたのだろう、と感じました。お互いに会話ができない状態になって、初めて心が通じ合うなんて、もうなんて表現したらよいかわからない感情です。
でも、いろいろ調べていると、作者の下書きの段階では、倒れたままうなずくごんが「うれしくなった」とあるそうです。
ごんは打たれて死んでゆく最後に、悲しい気持ちではなく自分の心が兵十に通じたことの喜びを感じていたのでしょうか。
本稿ではその心情描写を削除しています。これは、読者に考えることをうながすためではないかと思います。
「ごんぎつね」1913年(大正二年)に生まれた新美南吉が19歳の時に「赤い鳥」という児童雑誌に掲載されました。つまり「ごんぎつね」は誕生してから約100年がたっているということですね。
今でも教科書に載っているのは、話の内容がわかりやすいという点、心の通じ合いと悲しい結末が、心を動かすからだと思います。
新美南吉の他の作品にも触れてみたくなります。
