こんにちは。着物や帯のリメイクバッグを作っているひりまるです。
大島紬と村山大島紬は同じなのか、どちらかにどちらかが含まれるのか、区分けがよくわからないと思ったことはありませんか。
今回は本場大島紬と村山大島紬の違いについて紹介します。
大島紬と本場大島紬について
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大島紬は奄美大島が発祥の地で、「大島」というのは奄美大島の固有名称だったはずですが、いつのまにかこれが一般名称として使われるようになったようです。で、各地で大島紬という名称の織物が生産されるようになりました。
そのため現在では奄美大島を中心として生産されている大島紬は、「本場」という冠をつけて他産地の大島紬と区別するようになっているようです。
本場大島紬と村山大島紬の特徴
本場大島紬を特徴は、シャリンバイと「泥染め」による独特の深く渋い黒色調と、繊細な絣模様です。
着崩れしにくく、着込むほどに肌になじみます。また着心地の良さからもたくさんの人に愛されてきました。
軽くて暖かく、しなやかでシワにもなりにくい、という特徴もあります。防虫効果や消臭効果もあります。
奄美の自然から生まれた着る人に優しい織物です。
また、本場大島紬は世界三大織物の1つです。三大織物とは、フランスの「ゴブラン織」、トルコ・イランの「ペルシャ絨毯」そして日本の「本場大島紬」です。
村山大島紬を特徴づけるものに、「板締め」があります。村山大島紬はこの方法を使って染色されます。こうして作られる村山大島紬は、微妙なずれのある素朴な民芸調の絣模様と絹の光沢、軽くて着心地のよい風合いが魅力です。
また、村山大島紬は、1967年に東京都指定無形文化財に指定、1975年には伝統的工芸品の指定を受けています。
本場大島紬と村山大島紬の産地
本場大島紬とは、鹿児島県奄美大島が発祥地で、明治になってから盛んに作られるようになりました。産地も広がり、奄美大島だけでなく鹿児島、宮崎県都城でも作られるようになりました。また、生産が盛んになったときには、韓国産のものもありました。
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村山大島紬は、江戸時代から木綿紺絣(こんかすり)の産地として知られる武蔵村山市周辺の地域に板締染色の技術が導入されるようになってから作られるようになりました。村山大島紬は、主に普段着として普及し、高度経済成長期には大きな需要がありました。
どちらの紬も現在は生産が縮小しています。
本場大島紬と村山大島紬の工程
本場大島紬の生産工程は30以上の工程があります。特徴的なものをざっくりおおまかに書きます。
絣設計図案:方眼用紙のマス目に1つ1つ絣を書いて、模様(柄)を描き出します。この模様の設計図を元に糸(たて絣糸、たて地糸、よこ絣糸、よこ地糸)がそれぞれ準備されます。
糊張り(のりばり):たて糸とよこ糸を海草糊で糊付けをして天日で十分に乾燥させます。糊張りします。
絣締め:「しめばた」と呼ばれる締め機で図案に沿って模様部分を固く織り込む作業で、1度目の織りとも言われます。模様になる部分(=染めない部分)の絹糸を、綿の糸を用いて締めて(=防染する)、絣糸を作り出します。
染色:染め、絣糸や非違とを染める工程です。伝統的な技法の泥染めから、藍染め、やまももなどの植物染色、合成染料初めなどいろいろな染色があります。
機掛け:4種類の糸(たて絣糸、たて地糸、よこ絣糸、よこ地糸)が織りの職人へと渡されます。最初に、たて糸をセットする準備作業を行います。
本織り:二度目の織りとも言われる作業です。先染めしたて糸たて糸とよこ糸を1本1本、模様を合わせて図案通りの柄になるように織り上げていく緻密な作業です。
村山大島紬の工程は40くらいあります。特徴的なものをざっくりおおまかに書きます。
絣板制作:村山大島紬では、「板締染色」の技法が使われます。染色に使う絣板は絣の柄ごとに必要です。
精錬加工:糸を釜で煮ながら不純物を取り除きます。このあとよく洗ってから乾燥させます。この作業により、なめらかで艶のある絹になります。
地染め:ログウッドの芯材から作れるヘマチンなどの植物染料で地糸を染めていきます。
板巻きと板積み:たて糸を絣板1枚1枚に巻き付け、糸を巻き終え割ったら板の間に合い板を挟んで積んでいきます。よこ糸は板と板の間に互い違いになるように挟み込むような形で平らに並べます。
板締め染色・すり込み捺染:たて絣とよこ絣を別々に積み重ねた絣板をボルトで締め付けます。これを「舟」と呼ばれる板締め染色用の装置に横たえ、染料をまんべんなくかけて染めます。「板締め染色」では1色しか染まらないため、デザインによっては、「すり込み捺染」によって別の色を重ねていきます。
機巻き:染め上がった絣糸の柄を組み立てます。たて糸は絣糸の柄を合わせながら地糸と一緒に1本ずつ横に並ぶ柄も性格に合わせます。
製織:たて絣糸に正確によこ絣糸を合わせて織ることで、緻密な絣柄の村山大島紬が作られます。
まとめ
本場大島紬と村山大島紬は全くの別もだということがおわかりいただけたでしょうか。どちらも「紬」とついていますが、絹織物です。
それぞれの織物の良さや特徴を堪能して、お着物ライフを楽しんでください。
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